TARO ITO SOLO EXHIBITION「LUCA」
[日時]2023年5月8日(月)~14日(日) 12:00~18:00 最終日16:00まで ※会期中無休
2012年、当時の勤務先にてネガフォルムのパトローネが廃棄処分されました。
正確には廃棄されかけていたの大量の 「ガラクタ」 を私が引き取ったかたちでした。
理由はよく分かりません。強いて言えば、掌に収まるほどのサイズ感と独特なフォルムに妙な愛着を覚えたからでした。
廃棄になるはずだったパトローネたち。
まあ、いつだって人間は中身が重要。
中身 (ネガフィルム) がなくなれば、外見は無用の長物。
装置としての意味を失くします。
けれど、パトローネにはその1つ1つに写った人や物の記憶と思い出が残っているはず。
現代においてはスマートフォンで撮影し SNSに投稿されるため、その必要性を失ったように感じます。
現代人にとって当たり前の行為となり、写真フィルムの存在はまさに風前の灯。
写真の原点は 「記録」 ですからより楽に便利に残せればいい。
いずれフィルムカメラも消えるでしょう。
記録の在処を物理的に確認できる装置としての役目を終えたパトローネたち。
自分が塗ったり作ったりする行為自体に意味があるのかわかりませんが、作るとこで彼ら・彼女らに名前を付けたいと思いました。
LUCAの意味についてはドイツ、フランスなどのヨーロッパ圏における出生男児につけられる名前です。
その中で2010年代以降、もっとも多く名付けられたものが 「LUCA-ルカ-」 でした。
日本においても毎年流行りの名前が必ずありますがこのLUCA、調べてみると「光を放つ」「光をもたらす」人といった意味合いがあるらしいのです。
「アメリカの名前でマイケルってあるけど、ジョシュアの意味は何?日本だったらタロウって太く朗らかにってこと?」
LUCAという名前が一番人気となった2012年。
私にとってはちょうどこの作品を作り始めた時期であり、今年でちょうど10年の時が経ちました。
塗ったり描いたり、貼り付けたり。
自分が手を加わえることで、彼らもしくは彼女たちがまた違った在り方を歩んでいけるように作り続けています。
イトウ タロウ
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